精神的損害以外の金銭的な損害

不倫によって受けた精神的損害は金銭によって償われるのが原則です。

そして、その金銭が慰謝料ですので、最終的にはその慰謝料を得ることによって不倫問題を解決することになります。

もっとも、その慰謝料を得るに至るまでの段階で様々な費用がかかることがあります。

例えば、弁護士に依頼して請求する場合は、弁護士に報酬(それも何十万円単位です。)を支払う必要があります。

また、不倫の証拠を確保するため、探偵(興信所)に配偶者と不倫相手の尾行などを依頼すれば当然探偵に報酬(こちらは場合によっては何百万円単位です。)を支払う必要がありますよね。

疑問

では、これらのかかった費用を慰謝料とは別に、配偶者の不倫相手に対して請求できるものなのでしょうか?

仮にこれらの費用も別途請求できるのであれば、安心して高額な弁護士報酬や探偵の報酬を支払えます。

一方、これらの費用を請求できないのであれば、弁護士や探偵に依頼することを躊躇せざるを得ません。

弁護士費用

不倫の慰謝料請求を受けた人からご相談や回答書作成のご依頼をお受けすると、以下のような文言が入った書面を持参されることがあります。

  • ※文例
  • 不倫の慰謝料として金○万円を請求します。なお、支払いがない場合は法的措置をとることになりますが、その際には弁護士費用も付加して請求させていただきますことをご承知おきください。

訴訟を起こされたら相手方の弁護士費用も負担する?

裁判所

このような書面を受け取ると、「訴訟を起こされたら自分が依頼する弁護士費用と慰謝料だけでなく、相手方が依頼する弁護士費用もかかる」と思われる人がいるようです。

確かに、実際に訴訟になると慰謝料とは別に弁護士費用も請求されることが多いです。

しかし、請求者が支払った弁護士費用の全てを負担しなければならないわけではありません。

裁判所が認めるのは慰謝料額の1割程度

例えば、300万円を請求して100万円の慰謝料が認められた事例で考えてみます。

慰謝料

着手金は請求額の8%、成功報酬は認められた慰謝料額の16%という一般的な報酬体系の弁護士に依頼した場合、着手金は24万円、成功報酬は16万円、合計で40万円の弁護士費用がかかったことになります。

しかし、裁判所が請求を認める弁護士費用は、認められた慰謝料額の1割程度というのが一般的です。

つまり、上記の例で言えば実際には40万円の弁護士費用を支出していても、不倫相手から取り戻すことができるのは、裁判所が慰謝料として認めた100万円の1割である10万円程度ということになります。

訴訟にならない場合

裁判所を介することなく和解が成立する場合は、弁護士費用を慰謝料とは別に請求している事例は見たことがありません。

もっとも、ひとつの独立した項目として弁護士費用を請求していないだけで、請求者が負担する弁護士費用も加味したうえで、慰謝料額を決めているとういことはあると思います。

探偵(興信所)費用

探偵(興信所)の費用はかなり多額になることが多く、中には100万円以上を出費している人もいます。

そのため、この費用も不倫相手に請求したいと考えることでしょうし、不倫がなければ発生しなかった費用なのですから、不倫相手が支払うのは当然と考える人もいるでしょう。

しかしながら、裁判例は探偵費用の請求を認めているもの、認めていないものに分かれています。

認められたケース

まず、探偵費用が認められた裁判例の紹介です。

ただし、参考裁判例1のように、請求者が自分の判断で探偵に支払った全額が認められては不合理なので、通常必要とされる探偵費用の限度で加害者の不法行為と相当因果関係のある部分のみ認めているものが多いようです。

  • ※参考裁判例1(東京地裁平成20年12月26日)
  • 原告が自らの判断により、多額の調査費用を支出した場合、そのすべてが直ちに被告の不法行為に起因する原告の損害となるというのは不合理というべきであって、通常必要とされる調査費用の限度で被告の不法行為と相当因果関係のある損害となると認めるのが相当である。
  • ※参考裁判例2(東京地裁平成25年5月30日、Aは原告の配偶者、探偵費用207万9000円の請求事例)
  • 上記調査内容は、被告やAを尾行することによりAの行動を調査し、書面(写真を含む)により、原告に報告するというものであり、それほど専門性の高い調査とまではいえないことに鑑みると、上記調査費用のうち10万円について、被告の不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

参考裁判例2は、207万9000円も探偵費用として支出したものの、そのうちの10万円しか認められていないわけです。

とすると、おそらくこの請求は、赤字になったと思われます。

慰謝料算出時に考慮されたケース

次に、探偵費用の請求自体は認められなかったものの、その出費した費用は慰謝料を算出するに際して考慮(増額)するとした裁判例があります。

  • ※参考裁判例3(東京地裁平成16年8月31日)
  • この調査費用は、それ自体は本件不貞行為と相当因果関係がある損害と評価することはできないが、原告がそのような出費をしたことは、慰謝料算定の一事由として斟酌すべきである。

認められなかったケース

最後に、不倫の被害者が支出した探偵費用は、加害者の不法行為と相当因果関係のある損害とは言えないとして、探偵費用の請求を認めなかった裁判例も多数存在します。

  • ※参考裁判例4(東京地裁平成22年2月23日)
  • 被告は、当初から、本件調査の範囲外の時期における不貞行為の事実を認めており、本件調査が本件訴訟の立証に寄与した程度は低いものといわざるを得ないことを考慮すれば、原告が負担した上記調査費用(100万円)は、被告の不法行為と相当因果関係のある損害として認めることはできない。
  • ※参考裁判例5(岡山地裁平成19年10月5日)
  • 本件での興信所の調査費用は、必ずしも支出せざるを得なかった出費とはいえず、本件不法行為と相当因果関係にあるとはいえない。

認められるか認められないかの違い

上記のように探偵に支払った費用が認められるか認められないかの違いについて各判例から分かることは、その探偵費用は不貞行為の立証に必要不可欠であったかどうかです。

また、仮に探偵に支払った費用が認められる場合であってもその全額が認められることは難しく、不貞行為と相当因果関係にある部分についてだけに限られます。

したがって、探偵(興信所)に依頼するかどうかは慎重に判断する必要があるでしょう。

離婚届

具体的には、その不倫が原因で離婚に至るのであれば、それなりの高額の慰謝料が期待できる可能性があるので、探偵に依頼する余地はあると思います。

一方、今後も婚姻を継続するのであれば、一般的に慰謝料は低額になってしまいます。

そのため、そのような場合は、探偵に依頼すると赤字になる可能性が高いと言えます。

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